冥王星は2006年に惑星に関する基準が見直されたときに、その条件に合致しないとして格下げされました。しかし最近また、惑星に格上げしようとする動きも非常に強まっており、再び昇格する可能性も出てきています。

NASAでは2006年に準惑星に格下げにする際にも内部で大きな議論が湧き起こりました。その理由は太陽を中心とする距離だけで天体を区別する新しい基準ではなく、さらに物理的に根拠のある基準で分類した方が良いと言うものです。実際に冥王星はその他の現在惑星となっている天体に比べてもその直径が大きく、また十分な質量を持っていることがわかっています。そのため単に太陽からの距離だけで判断するのは乱暴ではないかと言う意見が非常に多いものでした。

最近ではNASAは新たな基準を設定しようとしており、その内容によると基本的にはこれまで核融合を起こしたことがなく、さらに自ら質量を持っており一定の軌道を描いて太陽の周りを周回しているということが条件で定義されています。この内容によれば冥王星は十分に条件に合致し、返り咲くことになるのです。

ただしこの節には様々な新たな問題を含んでいると言われる面もあります。実は太陽の周りを周回している天体は非常にその数が多く、この条件を全て適用すると現在よりも1000程度の天体が多く認められることになるのです。その中には地球に非常に近い天体も含まれており、またこれほど大きな数になるとその分類が非常に難しいと言う現実もあることから、実際にはさらに何らかの基準が設けられることになり、これによってその状況が大きく変わると言うことにもなりかねません。

ハーバード大学のPluto教授が2021年に発表したこの案では、数多くの天体がその候補にのぼることになり、従来定義した時から比べると非常に多くのものが対象となる可能性があります。そのため今後も新たな天体が発見される可能性を踏まえると、そのほとんどを認定することになる危険性もあるため、その案には内部でも反対意見が多いものとなっているのが実態です。さらにその条件に合致するかどうか曖昧な擬似的なものも含めると非常に膨大な数となるため、このPluto教授の案は基本的にはその成立が難しいと言われている部分も多くなっています。

冥王星は古来から太陽系の惑星として扱われており、2006年にその条件が合致しないと言うことで外されましたが、それ以前は同じ仲間と言うことで親しまれてきました。そのため、将来的には軌道が入れ替わるなどの減少も予測されており、このような意味合いから返り咲く可能性もないとは言えないのが実態です。