準惑星とは国際天文学連合が2006年の総会で、惑星を再定義し、新分類した際に誕生した用語です。準じるという言葉が頭についていることからも分かる通り、惑星に極めて近い性質を持っていますが、学問上では違うものとして扱われます。それでは具体的に準惑星とは一体どのようなものなのでしょうか?それについて知るには最初に惑星とは何なのかを学ぶ必要があります。
国際天文学連合は惑星とは「太陽の周りの軌道上にある」、「静水圧平衡にあると推定するのに十分な質量を持つ」、「その軌道近くから他の天体を排除している」の3条件全てを満たすものであると定義しています。2つ目の「静水圧平衡にあると推定するのに十分な質量を持つ」が難解ですが、簡単に言えば球体に近い形状をしているかどうかということです。準惑星とはこの惑星の三条件のうち2つの条件しか満たしていないものを指します。ちなみに1つだけ条件を満たしているものは「太陽系小天体」という名称です。
2006年に国際天文学連合が行なったこの再定義は、全世界に大きな衝撃を与えました。なぜかといえばこの定義の見直しによって、これまで地球と同じ太陽系の惑星として知られていた天体の運命を変えてしまったかんらです。その天体とは冥王星です、1930年にアメリカ人のクライド・トンボーによって発見されました。クライドは経済的な事情によって大学進学を諦めた苦労人でしたが、独学で勉強を続け自作した天体望遠鏡によって冥王星を発見し、天文学者になる夢を叶えます。そんなクライドが発見した冥王星ですが、実は当初から惑星であるかについては議論が行われていました、ただその当時は明確な惑星の定義が存在しなかったので、「変わった惑星」としての地位を守り続けました。
しかし観測技術が発達していくほど惑星としての固有の特徴を備えていないことが明らかになり、ついには太陽系で9番目の惑星としての地位を失うことになったのです。もっともこの定義に全ての専門家が納得しているという訳ではありません。NASAの主任研究官だったアラン・スターンは決議について「非常にお粗末だ」と酷評しました、ただしこれはアランがアメリカ人だからだという意見もあります。冥王星はアメリカ人が発見した唯一の惑星として愛されていた天体だからです。こうした事情を抜きにしても准惑星をめぐる定義については、現在も様々な議論が行われています。再び定義が変更され、惑星の地位を失う天体が現れるかもしれません。