ひまわり7号は運輸多目的衛星新2号(MTSAT-2)の愛称で、航空ミッションと気象観測ミッションの2つの機能を持つ衛星です。2006年2月に打ち上げられたH-IIAロケット9号機に搭載され、同年9月に静止軌道上に入って気象観測ミッションの待機運用に入り、2007年7月に航空ミッションの運用を開始しました。ひまわり7号は航空ミッションについては引き続き運用されていますが、気象観測ミッションは2015年7月から待機中です。2020年12月現在、ひまわり7号のほかに後継機として8号と9号が軌道上を周回していますが、7号の運用については正式に終了が決定されてはいません。

各機能の概要について述べると、航空ミッションでは主に航空管制業務に用いられており、茨城県常陸太田市と兵庫県神戸市の2箇所に設置されている航空衛星センターと航空機との間で行われるデータや音声の通信の中継を行うほか、GPSの精度を補強する目的で測位誤差を補正する信号を航空機に送っています。ひまわり7号と、先に軌道に投入されていたひまわり6号の2基により、GPS単独のときに比べて測位性能は大幅に向上しました。

一方、気象衛星ミッションでは、光学系の装置による全球観測を1日最大24回行います。24回のうち4回は南半球の観測に割り当てられており、北半球の20回の観測のうち4回はクラウドモーション・ウィンドベクトルを取得するために実施されています。取得したデータは多様な解析がなされ、さまざまな分野で役立てられます。この他にも、航空機や船舶、離島地域などからの観測データを中継するサービスや観測画像の配信などが行われています。

ひまわり7号では、衛星食とよばれる現象への対応も向上しました。衛生食は太陽が地球の陰に隠れている間、太陽電池を用いた電力の供給が困難になってしまう現象で、従来の衛星より大きな容量のバッテリーを搭載することで、観測を停止する頻度を減少させました。一方で衛生食が起こる期間は、装置に直接太陽光が入り込むと電子回路が破壊される可能性があるため、食が生じる領域だけ観測をしない運用がなされています。

日本では2000年代後半に制定された宇宙基本法に基づき、政府が宇宙基本計画を策定しています。ひまわりは主に気象観測業務を担う衛星ですが、この衛星を製造するにあたって用いられた様々な技術は、国内の宇宙探査や太陽系惑星間航行のための宇宙船の製造にいかされる可能性があります。