ハレー彗星は、17世紀から18世紀に活躍したイギリスの天文学者であるエドモント・ハレーによってその存在が明らかになりました。エドモント・ハレーがこの彗星を歴史上初めて観測したのは1682年で、過去の記録を辿ったところ1531年や1607年に出現した彗星の軌道によく似た周期性であることに気付き、次に現れるのは1758年と予測しました。そして実際に観測されたのは1758年の12月25日であったため、発見者であるハレーの名前にちなみハレー彗星と呼ばれるようになりました。ハレー彗星の中心にある核の大きさは8x8x17キロメートルで細長い形状をしており、その主成分は氷、その他の成分として一酸化炭素・メタン・アンモニアなどが確認されており、表面は炭素で覆われています。

太陽の周りを地球と反対周りで公転し、太陽から最も離れる「遠日点」は海王星の軌道よりも外側という大変大きな楕円形の軌道となっており、太陽の赤道面に対する傾斜が162度もあることが大きな特徴です。この軌道を一周するためにかかる時間はおよそ76年であるため、地球からハレー彗星を観測できるのも76年周期となっており、太陽に近づくにつれて熱で氷が溶けだすため、地球からは尾を引いたように見えます。

前回確認されたのは1986年で地上からの観測条件はあまりよくありませんでしたが、自転周期や彗星付近の太陽風磁場の観測が可能となったのは、多くの彗星探査機が打ち上げられてハレー彗星に接近して直接観測できたことによります。日本も1985年に打ち上げた「すいせい」と「さきがけ」の2機の彗星探査機が、この調査に加わり大きな成果を挙げました。ハレー彗星は歴史上で最も有名な彗星と言われている理由は、軌道が確定した彗星に割り当てられる周期彗星番号の1番であることの他に、災難の前兆と見なされてきたことによります。彗星の破片がもたらす宇宙塵が大きく影響していると言われており、その最たるものが1910年の大パニックでした。

ハレー彗星の尾に含まれる有毒のシアン化化合物によって地球上の生物全てが窒息死するという噂や、最も接近した際に地球上の空気が5分間消滅するなど大混乱を招きましたが、実際には地球の厚い大気に阻まれ何の影響もありませんでした。現在では、これらのデマは全て科学的に否定されているため純粋に彗星の美しさを楽しむことができますが、今現在ハレー彗星は地球から最も遠く海王星付近にいるものと推測されており、次回、地球で観測できるのは2061年となっています。ハーレー彗星だけでなくそのほかの宇宙情報はこちらのサイトにあります。ぜひ覗いてみてください。