宇宙や天体のことを調べているときや、これらの話をしているときに、オールトの雲という言葉を見たり聞いたりしたことがある人は多いはずです。名前から雲の1種だと勘違いしている人もいるかもしれませんが、実は仮説の領域のことを指しています。
オランダの天文学者であるヤン・オールトは、1950年に長周期彗星や非周期彗星の起源としてこれを提唱しました。彼の名前にちなんで名称がつけられ、オールト雲と呼ばれることもあります。簡単に説明すると、太陽系の外側で球殻状に存在している理論上の天体群です。あくまでも理論上の存在であり、実在しているものではありません。存在が仮定された天体の主成分は、水や一酸化炭素、二酸化炭素やメタンのような氷であるとされています。
類似するものにはカイパーベルトをあげることができ、こちらは海王星の外側を公転する惑星を主体とする天体群であり、オールトの雲と同様に彗星の生まれ故郷だとされていることを知っておくと良いです。ただし、彗星には短周期彗星と長周期彗星があり、前者がカイパーベルトがやってくるもので、後者がオールトの雲からやってくるものだと考えられています。これは太陽に落下してくる彗星の軌道から考えられました。オールトの雲はカイパーベルトの外側にあるとされており、ここでは氷や雪の塊である小天体が形成されていますが、他の恒星の影響などによって弾かれた小天体が太陽に向かうことで彗星になるとされていることを知っておきましょう。1950年にヤン・オールトによる提唱や定義づけが行われた後にも、様々な天文学者によって研究が続けられています。現在ではオールトの雲には、長周期彗星や非周期彗星の他に小惑星や惑星質量天体が含まれているのではないかと示唆されています。
オールト雲に向かって探査機も打ち上げられていますが、現実的に考えると到達する前に地球との通信が途絶えてしまうので、オールト雲自体や周囲のオブジェクトを確認することは不可能だと言えるでしょう。今後の課題は、これの存在をどのように証明するかだと言えます。実現が難しいことに感じられるかもしれませんが、天体に関する研究や探査機の開発は日々進められているため、今後は存在の証明が可能となるかもしれません。天体に興味を持つ人の多くが注目している存在だと言えるので、特徴を知ったり、積極的に情報を集めてみたりすることがおすすめだと言えるでしょう。