天文学とは天体と宇宙を研究する学問です。位置天文学や天体力学は昔からある伝統的なもので、20世紀になってから飛躍したのが天体物理学と宇宙物理学が飛躍的に研究が進んだ分野になります。天体物理学は天体の状態や進化などを研究する分野で、宇宙物理学は宇宙の構造や起源などを研究する分野になります。

テクノロジーが進むことによって、研究手法も進化していっています。その一つが、国際宇宙ステーションを活用した研究です。

国際宇宙ステーションは、地上と異なる宇宙環境を利用して長期にわたって実験や観測を行うための研究施設になります。実験を行う実験モジュール、働く宇宙飛行士が生活する居住モジュール、倉庫になる補給モジュールなどで構成されていて、1998年から建設が始まり完成後には宇宙飛行士が交代で滞在しながら様々な実験を行なっています。

地上とは異なる無重力空間では、通常の実験では作ることのできない材料を作ることが可能だったり、地上では調べることのできない物質の構造を解析することが可能となっています。また、宇宙での環境が人間の体や他の生物に与える影響などを調べている他にも、宇宙から地上へ大量にデータを高速で送る通信実験などが行われています。

当然天文学の研究も行われていて、国際宇宙ステーションでは星や地球の観測が行われています。世界最大の広視野X線カメラを国際宇宙ステーションに搭載することによって、全天のX線天体を観測することもできるようになっています。

X線は可視光や他の電磁波に比べて波長が短いのが特徴で、高温ガスやエネルギーの高い粒子が乱舞することによって発生します。このX線を国際宇宙ステーションから観測することによって、見えないくらい星や暗黒空間が観測できるようになったのです。

X線を発生させる爆発やジェットを噴射する天体は、通常の観測ではわからなくてもX線で観測すると明るさが激しく変動しています。つまり天体は宇宙の果てまで広がっていることが分かったのです。このようなテクノロジーを使うことで、新星などの星もすぐに見つけられるようになっていて、発見と同時に結果を世界中の天文学者に伝えることができます。

そんな国際宇宙ステーションは、地上から肉眼でもみることができます。条件が揃えば日の出前と日没後の2時間ほどみることができるため、肉眼で見たい場合には目視予想情報などを活用してみることがおすすめです。