人にとって馴染みの深い天体である月は、何人かがその上に立った土地でもあります。それを実現したのはアメリカのアポロ計画で、合わせて12人の男性が月面上を歩きました。その目的は当時苛烈だった宇宙開発でアメリカの優位性を示すためというのが有力で、もちろん宇宙開発そのものも含まれています。

アポロ計画では、月面着陸を実現させるために複数の方式が挙げられ、その中から最終的に複数の宇宙船を使用するものが選ばれています。その宇宙船は月に近いところで分離することができて、司令船側が月の周囲を回りながら待機している内に、着陸船が月面に向かう形です。この方式だと一人は司令船側に残らなければならないため、月に降り立つことはできません。しかし生命維持面で高い性能を持ち、実際に宇宙飛行士の命を守った実績があります。
月面着陸自体は月の表面に人を送り込んで、安全に帰還させることが目的です。しかし長期的には、月面に拠点を置くのも見込まれているはずです。もし月面に拠点を置くことができればいくつものメリットがあります。


現在でも宇宙ステーションではいくつもの実験が行なわれていますが、それはあくまでも高速移動する空間の中での話です。月だとしっかりした土台があるため、安定した環境を作りやすいです。重力が地球の6分の1で空気がない条件も、地球では実現できない要素です。またソーラーシステムを設置すれば、より効率的にエネルギーを生み出すことができるという考えもあります。


さらに様々な学問に影響を与えることにもなりますが、その恩恵を大きく受けるのが天文学です。月は地球とは異なり大気に包まれておらず、空気もないため光を阻害する要素が非常に少ないです。また土台が安定しているため、天文台設置に向いている環境です。地球ではいくつもの天文台を結んでやっと捉えることができたブラックホールも、比較的容易に撮影できるかもしれません。
ただ月面着陸を実現するためには、非常に多額の予算が必要となります。なのでアポロ計画も予算の問題から、当初の20号ではなく17号で終了しています。そしてそれ以来数十年間に渡って、月面着陸をした記録はありません。


しかし月面着陸自体が意味を成さなくなったのではなく、無人での拠点サポートや政府だけでなく企業主体など様々な計画が進行しています。なのでいずれ再び月面着陸が実現され、それが宇宙開発に大きく繋がる可能性は高いです。